いつものホテルが満室だった日――偶然見つけた南国リゾート

※このブログでは、60代の私が、これまでの生き方・日常・身体・性などについて、正直な言葉で綴っています。

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彼女とのデートの日。

私たちには、よく利用するホテルがあります。

勝手も分かっているし、落ち着く。

慣れた場所というのは、それだけで安心できるものです。

ところが、その日は満室でした。

「どうする?」

少し考えていると、前から気になっていたホテルがあることを思い出しました。

「じゃあ、あそこに行ってみようか」

彼女の運転で、そのホテルへ向かうことになりました。

いつものホテルが満室だったから選んだ、いわば予定外の場所。

でも、その予定外が、この日のデートを少し特別なものにしてくれました。

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ホテルというより、ちょっとしたリゾート

到着して、まず驚きました。

いつも利用しているようなホテルとは、雰囲気が違います。

部屋を選ぶ受付パネルがありません。

普通のホテルのようなフロントがあって、そこでチェックインの手続きをします。

フロアにはアメニティが並び、コーヒーやドリンク、お酒まで用意されています。

なんだかレジャーホテルというより、リゾートホテルにでも来たような感じです。

受付を済ませて、二人で部屋へ向かいました。

「どんな部屋なんだろうね」

初めての場所というだけで、少しワクワクします。

扉を開けると、そこは南国

部屋の扉を開けて、また驚きました。

まず目に入ったのが、天蓋のついたベッドです。

部屋全体も南国バリ島を思わせるような雰囲気。

ハンドマッサージャーやフットマッサージャーまで置いてあります。

これなら、南国のリゾートでエステでも受けているような気分になれそうです。

そして、お風呂をのぞいてみると――。

湯船には、いくつかの花が浮かんでいました。

「見て、花が浮かんでるよ」

ホテルのお風呂に花。

それだけのことなのですが、二人とも妙に感動してしまいました。

東京にいながら、ちょっとした南国旅行にでも来たような気分です。

彼女のお弁当を食べながら

まずは、彼女が作ってきてくれたお弁当を食べることにしました。

華やかな部屋の中で、二人でお弁当を広げます。

何を話したのか、細かいことまでは覚えていません。

特別な話をしたわけでもありません。

日常のこと。

家のこと。

最近あったこと。

そんな何気ない話だったと思います。

でも、長く付き合っていると、こういう時間が心地よくなります。

何か面白いことを話さなくてもいい。

沈黙を埋めようとしなくてもいい。

彼女の作ってくれたものを食べながら、思いついたことを話す。

それだけで、十分に楽しいのです。

花の浮かぶお風呂

食事のあとは、お風呂へ。

先ほど見つけた花が、湯船に浮かんでいます。

実際にお湯につかってみると、いつものホテルのお風呂とは気分が違います。

「なんだか旅行に来たみたいだね」

花を眺めながら、そんな話をしました。

たった数輪の花なのに、不思議なものです。

場所が変わる。

雰囲気が変わる。

それだけで、いつもの二人の時間まで少し違って感じられます。

いつもとは違う、ふたりの時間

そして、天蓋のあるベッドへ。

南国風の部屋にいるせいでしょうか。

いつもより少し開放的な気持ちになりました。

長く付き合っていても、場所が変われば気持ちも変わります。

いつもの安心感とは違う、新鮮さがあります。

お互いのぬくもりを感じながら、ゆっくりと二人の時間を楽しみました。

何年一緒にいても、こうして新しい場所で過ごすと、まだ知らなかった二人に出会えるような気がします。

「みんな目的はひとつなのに」

楽しい時間は、あっという間です。

チェックアウトのためにフロントへ向かいました。

改めて周囲を見ると、このホテルには妙な隠し事のような雰囲気がありません。

人目を避けるように歩く人もいない。

女性が普通にチェックインの手続きをしているカップルもいました。

私は彼女に言いました。

「なんか、ここっていいね」

「何が?」

「みんな目的はひとつなのに、隠すことのない雰囲気がいいよね。開放的で」

彼女も笑っていました。

男女が二人でホテルに来る。
それを必要以上に隠すような空気がない。

カップルが普通のホテルを利用するように、自然に出入りしている。

そんな開放的な雰囲気が、私はなんとなく気に入りました。

そんな当たり前のことを、このホテルの雰囲気が教えてくれているような気がしました。

「ねえ、ねえ」

チェックアウトの手続きも終わり、そろそろ帰ろうかと思っていたときです。

「ねえ、ねえ」

彼女が私を呼びました。

「なに?」

行ってみると、そこにいたのは――。

ドクターフィッシュでした。

小さな魚がたくさん泳いでいます。

彼女は興味津々です。

「ねえ、手を入れてみて」

「俺が?」

「あなたが気持ちよかったら、私が試してみるから」

どうやら、まず私で安全確認をするようです。

恐る恐る手を入れてみました。

すると、小さな魚たちが一斉に寄ってきて、チョンチョンと手の角質を食べ始めます。

「あっ、気持ちいい。ちょっとくすぐったいけどね」

「本当?」

「うん。大丈夫だよ」

すると彼女も手を入れました。

魚たちが彼女の手にも集まってきます。

「あっ、くすぐったい」

そう言って、彼女はにっこり笑いました。

予定外だったから、思い出になった

もし、いつものホテルが空いていたら。

私たちはきっと、いつものようにそこで過ごしていたでしょう。

天蓋のあるベッドも、花の浮かんだお風呂も、ドクターフィッシュも知ることはありませんでした。

「あのホテル、面白かったね」

「あの魚、くすぐったかったね」

きっと、これから何度かそんな話をするのでしょう。

予定どおりにいかなかった一日。

でも、そのおかげで、またひとつ。

二人に新しい思い出ができました。

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