
夕暮れの高速道路を走りながら、大切な人と過ごす時間。
松任谷由実さんの「中央フリーウェイ」を聴くと、そんな情景が浮かびます。
この曲を聴くたびに、私は東京の喧騒を離れ、彼女とどこか遠くへ向かって走っているような気持ちになります。
夕闇に染まるフロントガラス。
まっすぐ伸びていく道路。
流れていく街の灯り。
車内には、ふたりだけの時間があります。
現実から少しだけ切り離され、別の世界へ向かっているような感覚。
私の中では、高速道路というより、銀河鉄道999が夜空を走るレールのようなイメージです。
その先に彼女と向かいたかった場所がありました。
富士山麓へ向かうはずだった日
9月の初め。
彼女と中央自動車道を走って、河口湖までドライブする予定を立てていました。
ところが、その日に合わせるように台風が接近。
山のほうへ車で向かうのはやめたほうがいいだろうと、予定を変更することになりました。
「中止にする?」
そう聞くと、彼女は少し考えてから言いました。
「どこかで一泊したいな」
その一言で、行き先は河口湖から銀座へ。
ずいぶん違う場所になりました。
でも、不思議と残念な一日にはなりませんでした。
河口湖へ行くことが目的だったはずなのに、彼女と一緒なら、行き先が変わっても楽しい。
目的地よりも、誰と過ごすか。
あの日は、そんな当たり前のことを改めて感じた一日だったのかもしれません。
ただ、中央自動車道を彼女と走る計画は、今も私の中に残っています。
山本潤子さんが歌う「中央フリーウェイ」
私はユーミンが大好きです。
もちろん「中央フリーウェイ」も、ずっと好きな曲の一つです。
ところが、山本潤子さんが歌う「中央フリーウェイ」を初めて聴いたとき、同じ曲なのに少し違う景色が見えました。
透き通るような歌声。
やさしく、それでいて、まっすぐ心に届く響き。
ユーミンの歌から感じる都会的な景色とはまた違って、私には穏やかで温かな時間が流れているように聞こえます。
どちらがいいということではありません。
同じ「中央フリーウェイ」なのに、それぞれに違う景色がある。
私にとっては珍しく、原曲もカバーも同じくらい好きになった一曲です。
そして今ではこの曲を聴くと、まだ実現していない彼女とのドライブを思い浮かべるようになりました。
いつか、彼女と
いつか天気のいい日に。
今度こそ彼女と中央自動車道を走って、河口湖へ行きたいと思っています。
車の中には、山本潤子さんの「中央フリーウェイ」。
窓の向こうには青空。
遠くに見える富士山。
そして、助手席には彼女。
何か特別なことをする必要はありません。
途中で休憩して、何かおいしいものを食べて、
「富士山、見えるね」
そんな話をしながら、二人で同じ景色を見る。
きっと、それだけで楽しい。
あの日、台風に止められたドライブは、まだ終わったわけではありません。
いつか彼女と中央フリーウェイを走る。
叶っていないからこそ、今も楽しみにしていられる約束があります。
その日が来たら、私はきっとこの曲を流すのでしょう。
助手席の彼女と一緒に。

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