
昨日、ゴールデンウイーク最終日に彼女とデートしました。
いつものホテルで、いつもの時間。
そうなるはずの一日でした。
けれど、静かな雨は、少しだけ私たちの予定を書き換えたのです。
満室の雨
駅で待ち合わせ、いつもの場所へ向かいました。
東京は朝から雨。
風はなく、しとしとと静かに降り続いています。
十分ほど歩いてホテルに着き、まず私が中へ入りました。
ところが、掲示パネルには空室を示すランプがひとつも灯っていません。
「えっ?」
思わず立ち止まりました。
それでも、このホテルは二棟あります。
隣は少し古く、普段はあまり埋まっていない印象でした。
「大丈夫だろう。隣があるさ」
軽く考えて、彼女と移動します。
ところが、そちらもまさかの満室。
中に入っても、空室のランプはなし。
「どうしよう」
ふたりで顔を見合わせ、雨を避けるように駅へ戻りました。
こんなことは初めてでした。
予定外のドライブ
これまで二棟とも埋まっていたことなどありません。
「こういうこともあるさ。たまには喫茶店でお茶して帰るのもいいんじゃない?」
そう言うと、彼女が少し考えてから言いました。
「そういえば、今日は途中の駅まで車で来てるの。戻っていいなら、ドライブしながら探してみる?」
「あてはあるの?」
「うん、なんとなく。見た覚えがある」
彼女のひらめきで、ホテル探しのドライブが始まりました。
彼女の運転する車に乗るのは三度目ですが、相変わらず運転が上手です。
雨に濡れたフロントガラスの向こうを、慣れた手つきで走らせていきます。
しばらくして彼女が声を上げました。
「あっ、あれ」
見えてきたのは大きなホテル。
駐車場は一階と地下があり、雨を避けて地下へ入りました。
「空いてるかしらね」
半分祈るような気持ちで中へ。
すると、空いていたのは二部屋だけ。
しかも、かなり高いグレードの部屋でした。
休憩とは思えない値段に、一瞬ためらいます。
「どうする?」
そう聞かれて、嫌とは言えませんでした。
「ここでいいんじゃない。思い出にもなるし」
予定外の出費より、予定外の一日になる予感の方が勝っていました。
いつもと違う部屋で
部屋は豪華でした。
少し古さはあるものの、広く、照明もどこか落ち着いています。
まずは湯船で体を温め、ベッドへ。
場所が変わっても、することは同じ。
――そう思うのですが、実際には少し違います。
横浜一泊旅行以来、私たちの距離は確実に近づいていました。
触れ方も、息の合わせ方も、以前より自然です。
キスから始まり、首筋、脇の下、腕の内側、手のひら、指先、鎖骨へと、彼女の感じる場所を丁寧にたどっていきます。
やがて彼女の呼吸が乱れ、漏れる声が少しずつ深くなっていきました。
胸をゆっくり愛撫すると、彼女は身体を預けるように身をよじります。
昨日は、互いに体を入れ替えながら、求め合う時間を長く取りました。
お互いに触れ、お互いに待ちきれなくなり、それでもまだ次へ進みたくない――そんな時間でした。
少し深くなった時間
意を決して、そっと体を離します。
「入れるよ」
彼女は小さくうなずきました。
潤滑剤を使い、ゆっくりと。
何度か確かめるように動きながら、少しずつ奥へ入っていきます。
全部が収まったところで静かに止まると、彼女が小さく腰を揺らして、続きを促しました。
昨日試したのは、正常位のまま脚を伸ばしてもらい、そのまま脚を閉じてもらう形です。
それだけで角度が変わります。
締まり方も、当たる場所も、いつもと微妙に違う。
私にもはっきり分かるほど、彼女の反応が変わりました。
息が上がり、声が漏れ、私の肩にしがみつく指先に力が入る。
何度も何度も、浅く、深く。
そのたびに彼女の身体が揺れました。
最後は奥を意識して、深く。
彼女は短く声を上げ、そのまま果てました。
見慣れているはずの顔なのに、こういう瞬間は特に美しい。
何年経っても、そう思います。
続・続 最後から二番目の恋
ひと息ついたあと、彼女がぽつりと言いました。
「最近、『最後から二番目の恋』を見てるの。続・続だったかな」
実は私も、その日の朝からTVerで見始めていました。
主人公たちは私たちと同世代。
少しだけ若いけれど、歳を重ねた会話や空気感に妙な親近感があります。
私たちが出会った頃は、50歳と45歳。
今は66歳と61歳。
確実に歳を重ねました。
でも、歳を取るというのは、恋が薄くなることではないのかもしれません。
むしろ、若い頃にはなかった静かな深まり方があるのだと思います。
話しているうちに、自然と次の予定の話になりました。
「鎌倉デートもいいんじゃない?」
秋には、泊まりで鎌倉へ。
そんな未来を、ふたりでぼんやり思い描きました。
雨で始まった予定外の一日でしたが、
帰る頃には、また少し先の季節が楽しみになっていました。

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