
東京も梅雨に入りました。
今のところ、あの独特のジメジメした暑さはなく、比較的快適に過ごせています。
この時期になると、なぜか思い出すものがあります。
コロボックルとフキの葉
子どもの頃、私は「コロボックル」の絵本を読みました。
北海道や東北に伝わる伝説の小人たち。
大きなフキの葉の下で雨宿りをする――そんな話だったと記憶しています。
私のふるさとの空き地にはフキが生えていました。
祖母が植えたものだったようで、ときどき
「フキを取ってきて」
と頼まれたものです。
取ってきたフキは茹でられ、食卓のおかずになりました。
けれど、フキを取るたびに私は少し気になっていました。
「こんなに取ったら、コロボックルが雨宿りする場所がなくなってしまうんじゃないか」
そんなことを本気で考えていたのです。
そのせいか、頼まれた数より少なめに取って帰った記憶があります。
雨の日の空想
大人になった今でも、ときどきフキの葉を見ると同じことを思います。
フキの下で雨宿りができたら気持ちいいだろうな、と。
何も考えず、ただ雨音を聞きながらぼんやり過ごす。
そんな時間があってもいい気がします。
子どもの頃は、コロボックルになったつもりで想像していました。
今は、自分がその葉の下で雨宿りをしてみたいと思うようになりました。
もしその場に持っていくものがあるとすれば、やはりビールでしょうか。
シトシトと降る雨。
濡れた草の香り。
遠くで聞こえる雨音。
その中でビールを飲みながら、ゆっくりと酔いに身を任せる。
現実のことを少しだけ忘れて、ただぼんやりする。
もしかすると、今でもどこかのフキの葉の下では、コロボックルたちが雨宿りをしているのかもしれません。
そんなことを思ってしまう自分が、少しうれしくなる梅雨の季節です。

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