家かと思った

※このブログでは、60代の私が、これまでの生き方・日常・身体・性などについて、正直な言葉で綴っています。

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その日の彼女は、
いつもより敏感でした。

太ももの近くに触れるだけで身体を震わせ、
何度もキスを求めてくる。

ひとつになった瞬間には、
小さく息をのみ、
背中を反らせていました。

私に身を預けながら、
彼女は静かに乱れていきます。

その日は、
タオルで手首をゆるく縛り、
アイマスクで視界を塞いでいました。

見えない不安と期待が、
いつも以上に感覚を鋭くしたのかもしれません。

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静かな時間

すべてが終わると、
部屋には静かな時間が流れ始めました。

彼女は起き上がり、
汗で濡れたシーツの上に、
未使用のバスタオルを一枚敷きます。

そして、
当たり前のように私の隣にもぐり込み、
頭を寄せてきました。

「おいで」

「うん」

腕枕をすると、
彼女は安心したように目を細めます。

「今日は敏感だったね」

私がそう言うと、
彼女は少し照れたように笑いました。

「……手を縛られたからかも」

そんな他愛のない会話をしているうちに、
彼女の返事が少しずつ遅くなっていきます。

寝息

やがて、
「スースー」と小さな寝息が聞こえてきました。

今日は、
いつもより深く乱れたぶん、
疲れたのでしょう。

私は、
彼女を撫でていた手を、
そっと離しました。

横向きになった彼女は、
気持ち良さそうに眠っています。

その寝顔を見ていると、
普段、
懸命に生きている彼女が、
たまらなく愛おしく感じられました。

私はしばらく、
黙ったまま見つめていました。

家かと思った

ふいに、
彼女が目を開けました。

ぼんやりした目で、
じっと私を見ています。

「どうしたんだろう」

そう思っていると、
彼女が小さく笑いました。

「……家かと思った」

どうやら、
一瞬、
自分の部屋で寝ている気になったようです。

「なんで、あなたがいるんだろうって思った」

そこまで言って、
また笑う。

そして小さな声で、

「でも、幸せ」

と言いました。

頭を撫でているうちに、
安心して眠ってしまったのでしょう。

そんな時間を、
私はとても愛おしく思っています。

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