
彼女とのデートが終わります。
駐車場で彼女を見送り、車が左折して見えなくなるまで、私はその場に立っています。
それから私は駅へ。
彼女は車で自宅へ。
これで今日のデートも終わり――。
普通なら、そうなのでしょう。
でも、私たちの場合は少し違います。
家に帰ってから、もう一度デートが始まります。
その日の夜に交わす、メールです。
今日も楽しかったね
家に帰ると、その日のデートをメールで振り返ります。
「今日はありがとう」
「楽しかったね」
「お昼、おいしかったね」
そんな何でもない言葉から始まります。
ハニートーストを食べた日には、
「あのトースト、驚いちゃったね」
一斤そのまま出てきたハニートーストを前にして、二人で驚いたことを、家に帰ってからもう一度笑います。
ほんの数時間前まで一緒にいたのに。
メールを読みながらその日の出来事を思い返していると、もう一度彼女とデートをしているような気持ちになります。
ときには「営み反省会」
もちろん、食事や街歩きの話だけではありません。
二人きりで過ごした日の夜です。
ホテルでのことが話題になることもあります。
彼女から、
「今日はすごく感じた」
そんなメールが来ることもあります。
私から、
「気が付いたら濡れてたね」
と返すこともあります。
こうなると、もはやデートの感想というより、
「営み反省会」
です。
あのときはどうだった。
今日はいつもと少し違った。
そんなことをメールで話します。
不思議なものです。
数時間前には裸で一緒にいた二人なのに、家に帰って文字にすると、また違った話ができます。
「今日は愛してる、いただきました(笑)」
ある日のことです。
二人で過ごしているとき、私は彼女に、
「愛してる」
とつぶやきました。
意識して言ったというより、自然に口から出た言葉だったと思います。
そして、その日の夜。
彼女から届いたメールを読んでいると、こんな一文がありました。
「今日は愛してる、いただきました(笑)」
思わず笑ってしまいました。
ちゃんと聞いていたんですね。
でも、少しうれしかった。
「愛してる」と言った私。
それを真正面から「うれしかった」とは言わず、
「いただきました(笑)」
と返してくる彼女。
こんなところにも、長く付き合ってきた私たちらしさがあるような気がします。
17年たっても「愛してる」
そして、デートの感想を一通り話したあと。
私たちのメールには、よく同じ言葉が入ります。
「愛してる」
私からだけではありません。
彼女からも届きます。
長く付き合っているのだから、もう言葉にしなくても分かる。
そんな考え方もあるでしょう。
でも私は、分かっていることと、言葉にすることは少し違うように思います。
好きだから「好き」と言う。
愛しているから「愛してる」と伝える。
それでいいのではないでしょうか。
この年齢になっても、女性から届いた「愛してる」という文字を見るとうれしいものです。
そして私も、
「愛してるよ」
と返します。
私たちのデートが本当に終わるとき
食べたもの。
歩いた場所。
二人で笑ったこと。
ホテルで過ごした時間。
ときには、ちょっと恥ずかしい「営み反省会」。
そんな一日を、二人でもう一度振り返ります。
デートは、彼女の車が見えなくなったところで終わるのではありません。
それぞれの家へ帰り、
スマートフォンの小さな画面を通して、もう一度二人になる。
そして最後に、
「愛してる」
「愛してるよ」
その言葉を交わしてメールを閉じる。
そこでようやく、
私たちの一日のデートは、本当に終わります。

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