history with 恵(第二章)~西大寺

40歳代で出会い、そして別れた彼女。「恵」
「history with 恵」では、彼女との歴史を綴っていきます。

恵とのデートは、ほとんど電車を使ったものでした。

しかし、電車で行くことのできる場所は限られてしまいます。

今回は、レンタカーを使った数少ないデートの歴史です。

JR奈良駅で待ち合わせ

JR奈良駅で待ち合わせました。

改札口に近づくと、恵の顔が見えます。

恵はすでに着いており、改札口の外で待っていてくれました。 

改札を抜けると、恵が近寄ってきます。

「よお。待った?」私が声をかけると、恵が微笑んでくれます。

この日はレンタカーを使って、西大寺、唐招提寺、薬師寺を巡る予定です。

近鉄奈良駅

近鉄奈良駅そばのレンタカー屋さんに向かいます。

すでに予約してあるので借りるのはスムーズです。

1200CCの小型車に乗って、西大寺に向かいます。

私が運転する車に乗るのは初めてです。

「運転、上手やん。お父さんの運転する車に乗るのとは大違い」

安心してくれているようです。

西大寺~唐招提寺~薬師寺

西大寺

西大寺では人が多く、車の運転には気を使いました。

恵が運転が上手いとほめてくれたので、なおさらです。

駐車場も観光バスでかなり混んでいて、車の出し入れには苦労しました。

そして、次の目的地、唐招提寺に向かいます。

唐招提寺

当時、唐招提寺は工事をしていました。

工事の中をぬっての見学です。

鑑真和上が創建したとガイドブックに書いてあったので、かなり期待していましたが、工事中でかなりがっかりしました。

唐招提寺前のお土産屋さんで飴が売っていました。

恵が「食べてみなよ」というので、食べてみました。

あまり美味しくありません。

「恵。責任をとって残りは全部食べろよなぁ」と私が言うと、恵は振り向きながら走って逃げます。

笑っています。

気が強いくせに、私の前では子どものようです。

次は、薬師寺に向かいます。

薬師寺

駐車場は薬師寺の端にあり、かなり歩いたのを覚えています。

薬師寺もあまり混んでおらず、薬師寺はふたりのためにあるようでした。

もうそろそろ昼食時です。

付近のお店に入りました。

メニューをもらいましたが、ふたりとも焼き魚定食を頼みました。

「ふたりとも庶民的だね」と言いながら食べました。

ふたりなら何を食べてもおいしいものです。

事故に遭ったら

その日の予定はすべて終わったので、車を返しに戻ります。

恵が言います。

「ここで事故に遭ったら大騒ぎだね。お互いに既婚者どうしだからね」

まるで、事故に遭うことを願っているかのようです。

私はとぼけて言います。

「大丈夫。ふたりを、たくさんの仏さまが守ってくれている」

恵は黙って微笑むばかりでした。

キス

近鉄奈良への帰り道は、幹線道路に沿って走ります。

私は恵とキスをしたくなって、脇道に入ります。

観光地付近は混んでいますが、脇道に反れるとあまり混んでいません。

頃合いを見計らって、車を止めました。

恵は何が起きたか分からない様子で、私の顔を覗き込みます。

私はシートベルトを外し、顔を恵の顔に近づけます。

恵はようやく気がついた様子で、私のキスを受け入れます。

最初は軽いキス。そして、舌をからめていきます。

ふたりとも呼吸が乱れ始めてきます。

私はキスをしながら、恵の胸に手を添えます。

軽くもむと、恵の口から声がもれました。

「あっ、う~ん」

でも、これ以上はすすむことはできませんでした。

頭の中に「ホテル」の文字が浮かびましたが、土地勘がまったくないのであきらめました。

西大寺へふたたび

私は、この時以来、西大寺に行ったことはありません。

最近は、奈良に行ってみようかと思い始めました。

西大寺に行くと、恵の姿を探すに違いありません。

そして、なつかしさのあまり、熱いものがこみ上げくるに違いありません。

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