
40歳代で出会い、そして別れた彼女。「恵」
「history with 恵」では、彼女との歴史を綴っていきます。
恵とのデートは、ほとんど電車を使ったものでした。
しかし、電車で行くことのできる場所は限られてしまいます。
今回は、レンタカーを使った数少ないデートの歴史です。
JR奈良駅で待ち合わせ
JR奈良駅で待ち合わせました。
改札口に近づくと、恵の顔が見えます。
恵はすでに着いており、改札口の外で待っていてくれました。
改札を抜けると、恵が近寄ってきます。
「よお。待った?」私が声をかけると、恵が微笑んでくれます。
この日はレンタカーを使って、西大寺、唐招提寺、薬師寺を巡る予定です。
近鉄奈良駅
近鉄奈良駅そばのレンタカー屋さんに向かいます。
すでに予約してあるので借りるのはスムーズです。
1200CCの小型車に乗って、西大寺に向かいます。
私が運転する車に乗るのは初めてです。
「運転、上手やん。お父さんの運転する車に乗るのとは大違い」
安心してくれているようです。
西大寺~唐招提寺~薬師寺
西大寺
西大寺では人が多く、車の運転には気を使いました。
恵が運転が上手いとほめてくれたので、なおさらです。
駐車場も観光バスでかなり混んでいて、車の出し入れには苦労しました。
そして、次の目的地、唐招提寺に向かいます。
唐招提寺
当時、唐招提寺は工事をしていました。
工事の中をぬっての見学です。
鑑真和上が創建したとガイドブックに書いてあったので、かなり期待していましたが、工事中でかなりがっかりしました。
唐招提寺前のお土産屋さんで飴が売っていました。
恵が「食べてみなよ」というので、食べてみました。
あまり美味しくありません。
「恵。責任をとって残りは全部食べろよなぁ」と私が言うと、恵は振り向きながら走って逃げます。
笑っています。
気が強いくせに、私の前では子どものようです。
次は、薬師寺に向かいます。
薬師寺
駐車場は薬師寺の端にあり、かなり歩いたのを覚えています。
薬師寺もあまり混んでおらず、薬師寺はふたりのためにあるようでした。
もうそろそろ昼食時です。
付近のお店に入りました。
メニューをもらいましたが、ふたりとも焼き魚定食を頼みました。
「ふたりとも庶民的だね」と言いながら食べました。
ふたりなら何を食べてもおいしいものです。
事故に遭ったら
その日の予定はすべて終わったので、車を返しに戻ります。
恵が言います。
「ここで事故に遭ったら大騒ぎだね。お互いに既婚者どうしだからね」
まるで、事故に遭うことを願っているかのようです。
私はとぼけて言います。
「大丈夫。ふたりを、たくさんの仏さまが守ってくれている」
恵は黙って微笑むばかりでした。
キス
近鉄奈良への帰り道は、幹線道路に沿って走ります。
私は恵とキスをしたくなって、脇道に入ります。
観光地付近は混んでいますが、脇道に反れるとあまり混んでいません。
頃合いを見計らって、車を止めました。
恵は何が起きたか分からない様子で、私の顔を覗き込みます。
私はシートベルトを外し、顔を恵の顔に近づけます。
恵はようやく気がついた様子で、私のキスを受け入れます。
最初は軽いキス。そして、舌をからめていきます。
ふたりとも呼吸が乱れ始めてきます。
私はキスをしながら、恵の胸に手を添えます。
軽くもむと、恵の口から声がもれました。
「あっ、う~ん」
でも、これ以上はすすむことはできませんでした。
頭の中に「ホテル」の文字が浮かびましたが、土地勘がまったくないのであきらめました。
西大寺へふたたび
私は、この時以来、西大寺に行ったことはありません。
最近は、奈良に行ってみようかと思い始めました。
西大寺に行くと、恵の姿を探すに違いありません。
そして、なつかしさのあまり、熱いものがこみ上げくるに違いありません。
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