はじめてのとき~ひとひらの雪

※このブログでは、60代の私が、これまでの生き方・日常・身体・性などについて、正直な言葉で綴っています。

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大阪の元彼女・恵と別れてしばらく経った頃、私には親の介護という現実が待っていました。

ひとりで介護を続ける日々は、想像以上に心をすり減らすもので、

私は思わずあるサイトに救いを求めました。

そこで出会った彼女とは、最初はメールだけの関係でした。

介護認定のこと、手続きの流れ……実務的な助言をくれながら、いつの間にか心まで寄り添ってくれる存在になっていました。

メールのやり取りが続くと、彼女の言葉の温度が、次第に私の日々を支えてくれるようになりました。

実際に会ってみると、印象はさらに良く、やがて冗談めかしながらも「お互いをもっと知りたいね」と話すようになったのです。

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約束

初めてのデートは、東京タワーでした。

ゆっくり歩きながら話をするうちに、心の壁のようなものが自然と消えていきました。

その帰り道、私は思い切って口にしました。

「次は…ホテルで、ゆっくり話しませんか?」

彼女は少し照れながらも、うなずいてくれました。

ホテルで会うということは、言葉にしなくても、お互いに覚悟を共有するということです。

「場所はどこがいい?」と私が聞くと、彼女は言いました。

「小さい頃を過ごした、思い出の場所がいいわ」

彼女が告げた多摩地区の駅名を調べると、駅近くに良さそうなホテルがありました。


はじめてのとき

当日は、身にしみるほどの寒い日でした。

初めて降り立つ駅。

どこか懐かしさを含んだ空気の中で待ち合わせをし、私たちは無事に合流しました。

彼女は少し緊張した顔をしていました。

私も胸が高鳴っていましたが、それを悟られまいと平静を装いました。

きっと、彼女には全部見透かされていたのでしょう。

ホテルに入り、部屋の扉を閉めた瞬間、今までのデートとは違う空気が流れました。

静かで、どこかぎこちなく、緊張と期待が混じる空間。

「俺、先にシャワー行ってくるね」

急ぎ足で浴びたシャワーの音が、鼓動を鎮めてくれるようでした。

着替えて戻ると、私はそっと聞きました。

「無理なら、本当にここで止めてもいいからね」

彼女は小さく首を振り、「大丈夫よ」と答えてくれました。

彼女がシャワーを浴びている間、私はベッドに腰かけ、落ち着かない気持ちでただ待つだけでした。

カーテン越しの光を受けて、彼女が出てきました。

私はそっと腕を伸ばし、ゆっくりと抱きしめ、唇を重ねました。

彼女は呼吸が乱れ、まるで過呼吸になりそうなほど震えていました。

その震えを包むように、髪を乱さないように気を配りながら、ゆっくりとベッドへ導きました。

その先のことは、実はあまり覚えていません。

ただ、強く、深く感じた緊張と、彼女を受け止められた安堵だけです。

そしてひとつだけ、鮮明に覚えています。

―私たちは、確かに結ばれたのだということ。

その翌朝、彼女からメールが届いていました。

「昨日はありがとうございました。
 今朝は身体が少し痛いです。
 結ばれたことを実感しています。
 女の悦びを……はじめて感じました。」

その言葉を読んだとき、胸の奥が熱くなりました。


ひとひらの雪

ホテルを出ると、驚くような光景が広がっていました。

―雪です。

ひとひら、またひとひら。

音もなく降りてくる静かな雪が、まるでドラマのワンシーンのように私たちを包みました。

彼女は白い息をこぼし、私の腕に軽く触れました。

その瞬間の体温を、私は今でもはっきり覚えています。

あの日から時間は流れました。

今でも二人で思い出話として語り合うことがあります。

心も、体も、そっと重なった。

あの冬の日の、忘れられないひとひらの雪のことを。

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