はじめてのホテル~ひとひらの雪

大阪の元彼女「恵」と別れてしばらく経った頃、私には親の介護が待っていました。

ひとりで介護を続ける私は、精神的な負担を逃すため、サイトに助けを求めました。

サイトで出会った彼女はメールでのやり取りでしたが、介護認定やいろいろなアドバイスをくれました。

メールで仲良くなり、会ってみると好印象。

その後のやりとりで、「ホテルに行ってみない?」ということも冗談を交えて話すようになりました。

約束

初めて会ったのは東京タワーでした。

このデートでお互いに心の壁が取り払われ、率直に「次はホテルでお話しませんか」の約束から実現したものです。

ホテルで会うことは、大人の関係になっても良いという前提があります。

「場所はどこにする?」私が聞くと、彼女。

「小さい頃を過ごした思い出の場所がいいわ」

多摩地区のとある駅の名前を告げられました。

インターネットで調べると、ホテルは幸いなことに駅近にありました。

初めてのとき

当日は寒い日でした。

駅で待ち合わせして、無事に落ち合うことができました。

初めていく場所は不安でもあるけど、物珍しくウキウキします。

彼女は心なしか緊張している面持ちです。

私は表に出さないように努めていましたが、やはり緊張していました。

彼女に気づかれたでしょうか。

ホテルに着いて部屋に入ります。

今までのデートとは違って、お互いにぎこちなさを感じます。

「俺、シャワーに行ってくるね」

私は急いでシャワーを浴びて、ガウンを着て戻ります。

そして、「大丈夫?ここで止めてもいいよ」と彼女に聞いてみました。

彼女はうなずいて、「大丈夫」。

彼女がシャワーを浴びている間、私はベッドに腰かけて彼女を待ちます。

彼女が出てきました。

ベッドに来るのを待って、彼女を抱きしめてキスをしました。

彼女は過呼吸で倒れそうなほど呼吸が乱れています。

彼女の髪が乱れるのを心配しながら、彼女をベッドに導きます。

その後のことは、私も緊張していて詳しくは憶えていません。

憶えているのは、彼女と無事に合体できたこと。それだけです。

「約束を守れて良かった」

翌日、彼女からメールが来ました。

「昨日はどうもありがとうございました。
 今朝は身体が痛いです。
 結ばれたことを実感しています。
 女の悦びを感じました」

ひとひらの雪

ホテルを出ると、ドラマのような光景が待っていました。

雪です。

チラチラと舞う雪。

今でも私たちは思い出話として語り合うことがあります。

ふたりが心も体も結ばれた、素敵な冬の一日でした。

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