
彼女との初デートは、電波塔でした。
時期は二月。
ちょうど、このブログを書いている今と同じ頃の季節です。
帰りに、ふらりと立ち寄った神社がありました。
梅が、咲き始めたばかりの頃でした。
神社にて
境内に足を踏み入れると、梅の花が咲こうとしています。
白梅と紅梅が、うまい具合に配置されていました。
「うわぁ、かわいい」
彼女が、そうつぶやきました。
視線の先には、白梅がありました。
すでに花を開いているものもあれば、
これから咲こうと、ふっくら膨らんだつぼみもあります。
「私、こんなにきれいな梅は見たことがないわ。
満開の時期は、とてもきれいでしょうね」
「満開の時期に、また来ましょう」
私は、そう答えました。
電波塔の展望台から見る雪と、
地上で見る神社の梅。
とても印象的なコントラストでした。
展望台は地上約250メートルの高さにあり、
関東一円の景色を一望できます。
その日は、雪が降ったり止んだりしていて、
展望台からは、雪が下から吹き上げてくるように見えました。
約束を果たすはずだった日 〜 満開の梅へ
今年で、あの初デートから十五年が経ちます。
ある日、彼女が言いました。
「梅を見に行きたい」
今月下旬、梅を見るデートを約束しました。
「十五年前の約束が、やっと実現するね」
彼女は、とても嬉しそうでした。
ところが、ある日こんなメールが届きました。
「“ゆったりまったり”と“梅見”で迷っているの。
どちらも大切だから」
“ゆったりまったり”とは、
好きな大人同士が営む、あれのことです。
“ゆったりまったり”に決まりました
彼女は、決めたようでした。
「次のデートは“ゆったりまったり”にしよう。
梅見は来年。花見は今年ね」
花見とは、桜の時期、四月のデートを指しています。
女ごころと秋の空。
変わりやすいもののたとえです。
早春の梅も、そして私も、
彼女の心の移ろいには、どうやら勝てなかったようです。

コメント
「きみならで 誰にか見せん 梅の花
色をも香をも 知る人ぞ 知る」
を思い出しました。
梅の花と雪。コントラストが目に焼き付いています。
素敵な和歌をありがとうございます。恋の歌は梅の花。凛と咲く梅は、ふたりのお気に入りです。