そんな趣味は聞いていない!!

いや、決して本気ではないのです。

ただ、ふとした瞬間に火がついて、
つい“反応”を試したくなってしまう。

彼女がどんな顔をするのか——
その一瞬の揺れが、可愛くて仕方がないのです。

「ふん!!」

青森旅行の帰り、新幹線に揺られていました。

青森から東京まで3時間。

昔は特急で10時間以上かかったのだから、隔世の感があります。

最初は旅の思い出話で盛り上がっていましたが、
ふと、指相撲がしたくなりました。

「ねぇ、指相撲やろう。知ってるよね?」

「知ってるよ」

彼女の手を取ると、
右手の指同士を絡めて親指で勝負を仕掛けます。

もちろん、圧倒的に私のほうが強い。

だから時々わざと負けて、飽きないように工夫しながら。

そんな他愛もない時間の中で、突然、
男の“遊び心”が顔を出したのです。

——対戦中に、彼女の手のひらを親指でそっとくすぐったら、
どんな反応をするだろう?

ラテン系みたいに
「あぁっ、感じる」
なんて言うわけがない。

そう思いながら、即、実行。

「感じる?」

ニヤリと聞くと、彼女は短く——

「ふん!!」

本当は「バ~カ!」と言いたかったのかもしれません。

その後、彼女は手を振りほどき、
静かに窓の外へ視線を移しました。

その横顔が、なぜか嬉しかった。

「そんな趣味は聞いていない!!」

今年(2025年)の4月、
彼女と初めての一泊旅行で横浜へ。

いまだに彼女は、あの夜を“初夜”と呼んでいます。

山下公園前の新しいホテル。

中華街で飲茶を思い切り味わい、
満腹のまま夜景の美しい部屋に戻りました。

私はビールでほろ酔い。

彼女は下戸なので、お茶を飲みながら静かに笑っています。

夜景を眺めながら、
胸のあたりがふわりと温かくなった瞬間、
またあの“遊び心”が芽生えたのです。

カーテンを閉めようとする彼女の手を止めながら、
私はさりげなく言いました。

「このまま、見せちゃう?」

彼女の反応は一瞬でした。

「そんな趣味は聞いていない!!」

甘い声でも、恥じらいでもなく、
キッパリした彼女らしい返しに、
思わず吹き出しそうになりました。

そのあと、
“初夜”らしく甘い時間を過ごしたのは、
言うまでもありません。

「あなたは時々やるよねぇ」

後日、思い出話をしていると、
私の“遊び心”の話題になりました。

「あれは反応を楽しんでるんだよ。愛情表現だよ」

彼女は黙って聞いていました。

実は今回書いた2つ以外にも、前科はいくつかあります。

ひと通り話し終えたあと、
彼女はゆっくりと言いました。

「あなたは時々やるよねぇ」

その顔がニンマリしていて、
「嫌じゃないよ」
と、言外に伝えているようでした。

……少なくとも私は、そう感じました。
(もし勘違いだったらどうしよう、という不安は一応ありますが)

その夜も、ふたりは熱く求め合いました。

だからきっと——
「嫌じゃないよ」、で正解だと思っています。

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