
今でも、デートの帰り道になると話題にのぼるのが、
ずっと前に歩道橋から見上げた、あの満月のことです。
もう数年前になります。
寒い冬の日、ホテルからの帰り道。
日が落ちるのも早く、夏ならまだ明るい時間なのに、街はすっかり暗闇に包まれていました。
街灯は点いているものの、歩道橋の上までは光が届きません。
その薄暗さの中を歩きながら、ふと空を見上げると――
そこには、欠けることのない満月が浮かんでいました。
キリッと澄んだ空気の中で、
こうこうと、凛とした光を放っていたのを覚えています。
不思議なもので、今でもそんな何気ない情景が、
私たちの会話にふと顔を出すのです。
距離感
出会った頃、私たちは既婚と既婚。
そして今は、既婚と未婚です。
付き合い始めた当初、
お互いのすべてを知っていたわけではありません。
それでも、あえて深く聞かず、語らずに、関係を続けてきました。
嘘をついていたわけではありません。
話さないし、聞きもしない。
既婚という立場で向き合うには、
そうした距離感が必要だったのかもしれません。
距離があったからこそ、
寄り添い方のバランスが取れていた。
今は、そんなふうにも思います。
私が、やんわりと彼女を突き放したこともありました。
彼女はそれに気づき、静かに軌道修正をする。
逆に、彼女からそっと距離を置かれたこともあります。
……この微妙なバランス。
分かってもらえるでしょうか。
唯一無二のパートナー
今年(2025年1月)、初めてのデートで、
私はこれまでベールに包んできた部分を、すべて話しました。
前回のブログでも触れましたが、
彼女は、私の夫婦生活がどれほど崩れているかに、
少なからず驚いたようです。
それ以来、彼女のスタンスが、
少し変わったように感じています。
もしかすると――
この味気ない私の生活から、
救い出そうとしてくれているのかもしれません。
「子どもが巣立ったら、私のところへ来てもいいよ」
そんな言葉を、彼女は自然に口にしました。
そして、こう続けます。
「どんな形になろうとも、会えることが大切。
だって、ふたりは唯一無二のパートナーだから」
私は彼女と、
あの満月のように、欠けることのない関係を
ゆっくりと築いていきたいと思っています。
天使の卵は、私が守り続けます。
卵が天使になる、その日まで――必ず。

コメント