筆による快感

「筆」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。

多くの人は、まず習字を思い浮かべるかもしれません。

けれど私は、ふと考えました。
――営みで使えないものだろうか、と。

人工的という感覚

以前、「ウーマナイザー」について書いたことがあります。

人工的に吸引力を生み出し、クリや乳首を刺激するアイテムです。

彼女は、あれをとても気に入っていました。

身をよじりながら快感をこらえる姿は、今でも鮮明に思い出せます。

ただ、こんな言葉も口にしていました。

「人工的よね」

強い快感の中に、どこか機械的な感触を感じ取っていたのでしょう。

筆を使う

数日前のデートの前日、
思い立って筆を一本買いました。

高価なものではありません。
百円ショップで売っている、ごく普通の筆です。

筆先は糊で固められているので、石鹸で丁寧に洗い、柔らかな感触になるまでほぐしました。

目的は、営みの中でのフェザータッチ。

本当なら羽根のほうがいいのでしょうが、今回は筆で代用です。

彼女には、そのことを伏せたままデートに臨みました。

軽い拘束

その日は、タオルで彼女の手首を軽く縛り、頭の上へと持ち上げさせました。
ほんの軽いSMプレイです。

彼女はM気質なので、まったく拒みません。

「腕を上げて。軽く縛るね」

私の言葉に、素直に従います。
あらわになった脇の下は、とてもエロチックでした。

そこは彼女の性感帯。
ゆっくりと舐め上げると、身体をよじらせて感じ始めます。

そのタイミングで、筆の登場です。

描くように触れる

「筆だよ」

少し驚いた表情を見せたあと、
彼女は状況を理解したように、コクリとうなずきました。

筆で、円を描くように。
そして、糸を引くようにツーッと。

彼女の身体を半紙、いやキャンバスに見立て、
幾何学模様を描いていきます。

乳房は、すそ野から。
円を描きながら、少しずつ頂上へ――。

けれど、すぐにはたどり着かせません。
手前で戻り、またすそ野へ。

それを何度か繰り返し、
ようやく頂上に触れた頃には、

彼女の身体は快感に身をよじらせ、
いつの間にか、最初の位置から横へとずれていました。

柔らかな余韻

すべてが終わったあと。

彼女は私の腕に頭を乗せ、ぽつりと言います。

「とっても良かったわ」

「ウーマナイザーと、どっちが良かった?」

「もちろん、筆。
 とっても柔らかだった」

その一言のあと、
部屋にはしばらく言葉がなく、

気がつくと、彼女の寝息が聞こえていました。

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