恵が東京に来た日②

モーニングセックス

翌日になりました。

私は仕事に行くかっこうで家を出ました。

行く先は、恵の泊まっているホテルです。

ロビーを素通りして、恵の泊まる部屋へ向かいます。

「コンコン」ドアを叩きます。

ホテルの前で、メールを送ってあるのでスムーズにドアが開いて、恵が出迎えます。

「おはよう」

「おはよう」

恵はすでに化粧は済んでいるようです。

私は口紅をぬった恵に、軽くキスをします。

「チュッ」

部屋の中にキスの音がこだまします。

「待った?」と私。

「うん。待ってた」恵が答えます。

「ご飯は?」私が聞くと、恵はまだのようです。

「じゃあ、鎌倉に行く途中で食べようか」

準備をして部屋を出ようとすると、恵が言います。

「ちょっと待って」

何だろうと私が振り返りました。

「ねえ。もう一度キスして」と恵がおねだりします。

恵はすでに化粧がすんでいるので、私は軽くキスをします。

「チュッ」

キスを合図に、恵が荷物を置いて抱きついてきます。

私も恵の体を抱きしめます。

恵の呼吸は乱れています。

今度は軽いキスではありません。

くちびるを重ね、舌も入れていきます。

舌をからめると、身体の奥にあったムズムズとした気持ちがふくらんできます。

私の胸には恵の胸のふくらみが、恵の下腹部には私の股間のふくらみが当たっています。

もうお互いに抑えることはできません。

むさぼるようにお互いに裸になって、身体を重ね合います。

「はあはあ」「う~ん」「ああっっ」…。

さまざまな息づかいや喘ぎ声が飛び交います。

最後はひとつになりました。

「イッ、イキそう。イク!」

「イクッ、ウッ!」。

愛の交歓は終了です。

鎌倉

予想外のモーニングセックスをしたせいで、時間がなくなってしまいました。

鎌倉まで1時間半はかかります。

結局、朝食はコンビニのおにぎりで済ませることになりました。

由比ガ浜で、海を見ながら食べるおにぎりも良いものです。

まさか、恵と鎌倉でおにぎりを食べるなんて考えてもみませんでした。

由比ガ浜~鶴岡八幡宮(鎌倉の守り神)を観光すると、恵が帰る時刻が迫ってきます。

羽田空港へ

軽く食事を取り、いよいよ浜松町経由で羽田空港へと向かいます。

浜松町から羽田空港へと向かうモノレールの中では、ふたりともジッと外を見ています。

名残惜しさが残っています。

羽田空港では搭乗口まで見送りました。

「じゃあ、また」

「うん、じゃあまた」

何度も何度も振り返って、手を小さく振っていた恵の姿が、目に焼き付いています。

帰りのモノレールから見た空は、夕焼けで染まっていました。

一生、忘れることのできない風景です。

東京に来る決断をした恵。

言葉は関西弁なまりの標準語ですが、決断力が早い恵は、難波の女でした。

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