
「道ならぬ恋」には、いくつもの感情が渦を巻いています。
家族への想い。
配偶者への気持ち。
そして、恋人への感情。
それらが絡まり合い、頭の中を行き交います。
えっ? 本当?
先日のデートで、彼女とこれまでの想い出を語り合いました。
東京タワーを見に行った日のこと。
近くの神社で、梅がきれいに咲いていたこと。
帰り道、手袋を落としたことに気づき、公園まで引き返して探したこと。
ビニールシートを広げて、お弁当を食べたこと。
話は尽きませんでした。
ふと、私は口を開きました。
「そういえばさ、俺、完全に仮面夫婦なんだよ。
デートから帰るのが、嫌で嫌でたまらない」
「そう……」と彼女。
「病気とまでは言えないと思うんだけど、
配偶者は自分の話ばかりで、会話にならないんだ。
子どもも、お母さんが苦手でね」
「お孫さんとは会ってるんでしょう?」と彼女。
「何か月に一回はね。
でも、配偶者と一緒にいるのが本当に苦痛で。
最近は、会いに行くのもサボってしまう」
「えっ?
お孫さんのことは、夫婦で仲良くしているものだと思ってた」
彼女は、かなり驚いた様子でした。
私が、配偶者から完全に気持ちが離れているとは、知らなかったのだと思います。
これまでも、私自身のことは話してきました。
けれど、彼女の気持ちを考えて、配偶者の話題は避けてきました。
積極的に口にしたのは、先日のデートが初めてでした。
「もう、離婚したいという気持ちは伝えてある。
家を売る話もした。
でも、拒否されているんだ」
私は続けました。
「今までは、聞くのも辛いだろうと思って、話してこなかった。
でも、俺の現状は、こんな感じなんだ」
その思いをじわじわと感じています
彼女が、私の老後を心配してくれていたこと。
私に深入りしすぎないよう、時折、距離を取っていたこと。
これから先の、お互いの生活のこと。
さまざまなことを語り合いました。
後日のメールには、こう書いてありました。
「いろんな話を聞いて、頭の中がグルグルしています」
そうかもしれません。
彼女は、私が既婚者だからこそ、
「既婚生活のことには触れないでおこう」と思っていたようです。
一方で、私は彼女を傷つけまいと、あえて触れずにいました。
彼女のメールには、さらにこうもありました。
「私に期待させてはいけないと思ってくれていたのは、分かっていました。
だから、私も自立しようと頑張れた。
いつも相談に乗ってくれたし、支えてもくれた。
感謝しかありません。
今、その思いをじわじわと感じています」
既婚者の恋
既婚者同士の恋には、さまざまな想いが錯綜します。
恋ではなく、
つまみ食いの遊びであれば、男は逃げることもあるでしょう。
男は謝れば、家庭に戻れる可能性があります。
でも、女性はきっと、そう簡単ではありません。
そんな無責任な火遊びは、恋ではありません。
遊び。
関係。
もしかしたら、セックスフレンド。
けれど、
「帰るべき家庭に、もう頼れない」と悟ったとき、
人は恋に落ちてしまうことがあります。
悪いと分かっていても、抗えなかった恋。
様々な原因で始まるのでしょう。
その始まりは、人それぞれです。
ただひとつ言えるのは、
その恋には、責任が伴うということ。
逃げない覚悟のある恋。
……それは、恋をした人間にしか、分からないのかもしれません。

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