
皆さんは「HOW TO SEX」をご存じだろうか。
医学博士 奈良林祥(ならばやし やすし)先生の名著。1972/4/1初版、KKベストセラーズ。
今から50年以上も前の出版です。
古い本なので、このブログをご覧の皆さんのほとんどの方は知らないと思います。
この本は、初心者向けに書いた性の手引書なのです。
そして、当時の高校生だった私たちの「性のバイブル」でもあったのです。
本には、女性の形から合体の仕方まで丁寧に書かれています。
しかし、既に奈良林先生は亡くなられていて、中古本市場でしか手に入らないようです。
海外版 プレイボーイ
私がこの本を手にしたのは、高校生の時です。
本のことは「週刊明星」や「平凡パンチ」で扱っていて、存在だけは知っていました。
この本との出会いは、友だちとの会話から始まりました。
「今度、海外版のプレイボーイが発売されるみたいだよ」
友だち情報です。
現在、発売されている「週刊プレイボーイ」とは別物で、海外版のプレイボーイは上質の紙を使っており、グラビアはすべて外国人です。
「おおっ、俺にも買ってきて!」
私が頼むと、友だちは心地よく引き受けてくれました。
友だちに一方的に頼むのは悪いので、私も何かを買ってくることにしました。
「HOW TO SEX」
ある日、私は町はずれの書店にいました。
「なにを買おうか」
迷っている私に「おいで、おいで」をするように、「HOW TO SEX」。この背表紙が目に入ってきました。
「おおぅ、この本!!」
周りに人がいないことを確かめて、その本を手に取り、足早にレジへ向かいます。
小さな声で、「この本、ください」。
私は何か言われるかとドキドキしていました。
幸いなことにレジの人は男性です。
お店の人は普通に「〇〇円です」と言って紙袋に入れてくれました。
「とうとう買っちゃった…」
恥ずかしいやら嬉しいやらで、胸はドキドキです。
そそくさと学生カバンに本をしまい、帰路につきました。

女性器の形は「H」
家に着いて、そそくさと自分の部屋へ。
学生服のまま、紙袋を開け、本を手に取ります。
黄金のオーラーが出ている感じがします。
本の中身をペラペラめくると、こんなことが書かれていました。
「女性器を多くの皆さんは知らないと思いますが、実は「H」の形をしているのです。
そう、野球の江川君が入学した法政大学の「H」です」
「ん?Hの形をしてる?」
私は「I」のスジの形を想像していました。
図も載せてありましたが、まったく想像できませんでした。
意味不明でしたが、「医学博士がそうおっしゃっているんだから、そうなんだろう」と無理やり納得させました。
奈良林先生がおっしゃっていた「H」の形は、大学生になって実際に女性器を見て始めて納得することになるのです。
翌日
翌日は友だちが、あの海外版のプレイボーイを持ってきてくれる日でした。
私もせめてものお返しをと「HOW TO SEX」を学生カバンへ忍ばせて登校しました。
いよいよ授業が終了して、友だちからプレイボーイを受け取り、代金を払いました。
代金を払うとき、「これ読む?貸そうか?」。友だちに聞きました。
最初は友だちもポカンとした表情でしたが、事情はすぐに分かったようです。
「読む、読む!!」
私はちょっとネタバラしに言いました。
「女って「H」の形をしてるんだってよ!」
「えっ?そうなの?」
友だちも知らなかったようです。
私は英雄気取りで「この本を読んで勉強しろよな。試験に出るぞ!!」と茶化しました。
実は私も知らないことだらけでした。
知識の源
私が青春期を迎えたのは50年も前の話です。
当時は今のようにインターネットもなく、性の情報はもっぱら週刊誌や本からでした。
前に話した「週刊明星」や「平凡パンチ」は、芸能関係の事が書いてありましたが、時々、性の相談コーナーもありました。
その記事を見つけるとドキドキしながら、こっそりと読みふけったものでした。
しかし、女性器の実物を見たこともないので、文字が変なイメージに置き変わり、グロテスクな代物になり頭の中がパンパンになったものでした。
後日、友だちが「HOW TO SEX」を返してくれました。
「ありがとう!!俺も買っちゃった」
本を見ると、読みこんだ後が…。
「あんなに大切に扱っていたのに…」。
トホホな気分の私でした。
でも、友だちが喜んでくれたから良いっか。
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