
彼女と出会ってから「体の相性」の意味を知りました。
あの日以来、私は「体の相性」という言葉を、ただの比喩ではなく、
確かな実感を伴った現実として捉えるようになりました。
彼女と会うたび、私はまず抱きしめます。
挨拶よりも、会話よりも、先に抱き寄せる。
それが二人の“儀式”になっています。
腕を回すと、彼女は肩の力をふっと抜き、胸のあたりで小さく息を漏らします。
その瞬間、こちらの心拍と、彼女の心拍が、同じテンポで打ち始めるのがわかります。
「今日も…会えてよかった」
彼女はいつもそう呟き、顔を肩に預けてくる。
その仕草が、柔らかく、愛おしい。
温度が合うということ
若い頃の私は、
“挿入して射精すること”をセックスだと思い込んでいました。
しかし今は違います。
彼女の手が、そっと私の背をなぞる。
その温度が、私の奥のほうへ静かに降りていく。
ただ触れ合っているだけなのに、下腹がじんわり熱を帯びていく。
「触れられると…落ち着くの」
彼女がそう言ったことがあります。
落ち着くと言いながら、指先は微かに震えています。
その震えが、肌越しに伝わり、体の奥を甘く締めつけてきます。
キスの深さ
キスもまた、体の相性を如実に教えてくれるものです。
唇が触れた瞬間、呼吸の吸い方、吐くリズム、
舌を絡める深さまでも、自然と同じペースになる。
引き寄せれば寄せるほど、
お互いの気持ちが、身体の温度に溶けていく。
ぎこちなさは一度も感じたことがありません。
「あなたのキスだと、頭が働かなくなる…」
そう言われた時、私は悟りました。
相性というのは理屈ではなく、
触れた瞬間に“体が勝手に答えを出すもの”なのだと。
ベッドへ移るまで
彼女は、ベッドに入る前からすでに熱を宿しています。
それは、私の手が背中に触れた時から始まっています。
肩から腰へ、腰から太ももへ。
指先が滑るたび、彼女は息を整えようとするのですが、うまくいかない。
呼吸が乱れ、胸が上下し、脚に力が入らなくなっていきます。
「まだ…はじまってないのに…」
彼女がそう呟いた時、私は思いました。
体の相性とは、挿入の瞬間だけで決まるものではない。
触れた瞬間から始まっているものなのだ。
ベッドに横たわる頃には、彼女の身体はすでに私を迎える準備を整えている。
寂しさも、日々の疲れも、すべて脱ぎ捨てるように。
ここから先が、二人だけの世界。
そして、相性を確かめ合う時間が始まるのです。


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